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唐突に

 唐突に気になった……いや、ずっと気になっていたけれども、今改めて気になっている。
 陶淵明の『帰去来辞』
 その中の「帰去来兮」を一番最初に「帰りなんいざ」と書き下した人は誰なんだろうか?

 既にそう読むのが通例になっているから何となくそう読んでいるけれど、相当な名訳ですよね、これ。
 だって「帰りなん、いざ」ですよ。そこに続く「田園まさに荒れんとす、なんぞ帰らざる」まで続けて読んだら、もうそれだけで「嗚呼、帰らなきゃ!」って気分になりますよ。素晴らしく胸に響きますよ。

 名訳といえば『勧酒』井伏鱒二訳
勧君金屈巵 コノサカヅキヲ受ケテクレ
満酌不須辞 ドウゾナミナミツガシテオクレ
花発多風雨 ハナニアラシノタトヘモアルゾ
人生足別離 「サヨナラ」ダケガ人生ダ
 ってのも相当な名訳だと感じますが、これは書き下し文ではないからなぁ。

 やっぱり「帰去来兮」で「帰りなんいざ」はつくづく素晴らしいと思います。
 どこの誰なのかは知りませんが、『帰去来辞』に初めて出会った中学生の頃から「帰りなんいざ」の訳者を尊敬しています。訳者素晴らしい!
『帰去来辞』が日本でも親しまれているのは、この書き下しの功績も大きいと思うのだけれどもなぁ。

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